最終確認:2026年7月27日(日本語版 2026年9月28日)・出典:税関、国税庁、e-Gov法令検索(本文中にリンク)
このページの内容
日本に法人がないのに自社名義で日本の通関を行う必要がある場合、たとえばフルフィルメント在庫の 輸入者(IOR)になる場合や、日本で購入した商品の 輸出者(EOR)になる場合には、何かを出荷する前に必ず行う選任があります。 税関事務管理人(ACP:Attorney for Customs Procedures)です。このページでは、様式、添付書類、提出先、所要期間、 そして選任後に税関事務管理人ができること・できないことを、実際の手続に沿って説明します。
税関事務管理人とは何か、誰が選任しなければならないか
法的根拠は関税法第95条です。第1項は、税関手続を行う必要があるのに日本国内に住所・居所を持たない者(法人の場合は 日本国内に主たる事務所を持たない者)は、日本国内に住所を持つ者を、自分に代わって手続を行う者として定めなければ ならないとしています。第2項は、その選任を最初の申告より前にあらかじめ税関に届け出ることを求めています。税関の カスタムアンサー9601 (英語版)と e-Govの法令本文を参照してください。 税関の英語資料ではこの者を「Customs Procedure Agent」と呼んでいますが、業界ではほぼ「ACP」で通っています。 何を届け出て何を添付するかの詳細は、関税法施行令第84条・第84条の2、関税法施行規則第11条の2・第11条の3に定められており、 いずれも税関の改正概要ページに掲載されています。
以前より重要になった理由:2023年10月1日から、税関は輸入申告者となれる者を明確にしました。自社在庫を日本の フルフィルメント倉庫に送る非居住者のセラーは、今では自社名義で申告しなければならず、手続だけを請け負う日本の代行業者を 名義上の輸入者にすることはできません。税関の公式な 事例集(PDF)と リーフレット(PDF)は、 フルフィルメントサービス向け貨物についてこの点を明記しています。こうしたセラーにとって、税関事務管理人の選任は そもそも輸入するための入口です。
誰が税関事務管理人になれるか、税関事務管理人でないもの
日本国内に住所を持つ個人、または日本国内に本店を持つ法人であれば誰でも就任でき、許可や資格は不要です (カスタムアンサー9601)。 実務では、通関業者、貿易コンサルタント、税関事務管理人の専門事業者、または非居住者のグループ会社が務めることが多いです。
税関事務管理人でないもの2つ:
- 通関業者ではありません。業として通関を行えるのは許可を受けた通関業者だけです。カスタムアンサー9601は、 通関業の許可を持たない税関事務管理人は業として通関業務を行えないとしています。そのため標準的な体制は、税関事務管理人 と通関業者の組み合わせです。1社が両方を兼ねることもありますが、別々の2社であることの方が多いです。
- 製品関連法の代表者ではありません。規制品にはそれぞれ国内の許可保有者が必要です。医薬品、医薬部外品、化粧品、 医療機器には薬機法に基づく日本国内の製造販売業者が必要で (カスタムアンサー1805)、 2025年12月25日以降は、PSマーク対象品を日本の消費者に直接販売する海外事業者は、改正製品安全4法に基づき特定輸入事業者として 届け出て、別途国内管理人を選任しなければなりません (経済産業省)。 税関事務管理人を選任しても、これらの制度はどれも満たせません。
選任の手順
以下はすべて、最初の貨物が出発地を出る前に行います。ブッキング日から逆算して、少なくとも1か月は見込んでください。
- 税関事務管理人を決める。グループ会社、通関業者、専門事業者のいずれにするかを決めます。実務上の選定ポイントは、 同じ事業者が国税庁側の納税管理人も務められるか(後述)、フォワーダーや通関業者と円滑に連携できるか、 そして輸出業務の場合は、引き受ける前に貨物の輸出管理上の該非を確認しているかです。
- 書類をそろえる。2023年10月1日以降、届出には自社と税関事務管理人との関係を記載し、委任契約を証する書類を
添付する必要があります(税関の改正案内)。
実務用のチェックリスト:
書類 備考 税関事務管理人届出書(様式C-7500)2部 公式様式(PDF)。輸入時に税関が徴収する消費税等についての納税管理人の届出を兼ねます。 委任契約書または委任状 2023年10月1日以降の必須添付書類:非居住者と税関事務管理人との委任関係を証する書類。 双方の本人確認書類 税関事務管理人の登記事項証明書、非居住者の設立証明書またはそれに相当する登記書類(カスタムアンサー9601)。 届出者と税関事務管理人との関係の記載 2023年10月1日以降の正式な届出事項(例:業務委託契約、グループ会社)。 取引の流れ図 実務でよく求められます:誰が貨物を所有し、誰が販売し、通関後にどこへ行くかを示す簡単な図。 - 管轄の税関に様式C-7500を提出する。申告予定の港を管轄する税関に2部提出します。成田・羽田に到着する航空貨物なら 東京税関です。NACCS(日本の通関の電子システム)で汎用申請の業務コードGT7を使って電子的に提出することもできます (カスタムアンサー9601)。 GT7での届出は、税関が徴収する輸入時の税についての消費税の納税管理人の届出を兼ねるものとされています。
- 輸入者・輸出者コードを取得する。NACCSの申告では輸入者をコードで特定します。日本の法人番号を持たない非居住者は 税関発給コードを申請します。無料で、非居住者向けの手続も用意されています (税関のコードに関するページ)。 また、税関事務管理人を選任した非居住者はJASTPROコードも取得できます (JASTPROの登録条件)。 通常は税関事務管理人または通関業者が申請を代行します。
- 処理期間を見込む。税関が届出を登録するまでの法定期限はなく、実務では2週間程度とされることが多いです。 スケジュールに組み込み、選任が確認されるまで貨物を出荷しないでください。登録された税関事務管理人のいない貨物は港で止まります。
- 最初の貨物。通関業者が自社を輸入者として申告し、輸入許可通知書は自社名義で発行され、関税と輸入消費税も自社名義で 納付されます。注意点が2つあります。2025年10月12日以降、輸入申告には通販貨物かどうか、該当する場合はプラットフォーム名、 通関後の配送先の記載も必要です(税関)。 また、輸入許可通知書はすべて保存してください。日本の税務申告で輸入消費税を控除できるのは、そこに輸入者として記載された者だけです (国税庁 質疑応答 16/26)。 控除の仕組みは輸入時の税のガイドをご覧ください。
変更と解任
登録済みの選任の変更や解任は様式C-7510で届け出ます(NACCSでの解任は業務コードGT8)。 カスタムアンサー9601を参照してください。 事業者を切り替える場合は、解任の届出と新しいC-7500を提出します。貨物の輸送中に空白期間を作らないでください。
国の側から選任を求めることもできます。2023年10月1日以降、税関長は非居住者に期限を定めて税関事務管理人の届出を書面で求めることができ、 従わない場合は、非居住者と関係のある国内の者(特定税関事務管理人)を税関事務管理人に指定できます (関税法第95条第3項~第5項、 税関、 法令本文)。 要件をそのまま無視していた非居住者のEC事業者を念頭に置いた規定です。
税関事務管理人がすること・しないこと
カスタムアンサー9601によれば、 税関事務管理人は非居住者に代わって次のことを行います。
- 輸出入申告その他の税関手続(実務では通関業者と連携して)
- 税関検査への立会い
- 関税と輸入消費税の納付手続
- 税関と非居住者の間の書類の受領・送付(税関の調査に関する書類を含む。関税法施行規則第11条の3)
- 還付金の受領
しないこと:
- 納税者にはなりません。関税法第6条は関税の納税義務を貨物を輸入する者に課しています (カスタムアンサー1103)。 その債務や輸入消費税を税関事務管理人に移す規定はありません。
- 調査の盾にはなりません。税関事務管理人は調査に関する連絡の窓口ですが、申告内容の正確性、課税価格、追徴課税に 責任を負うのは非居住者の輸入者のままです。
- 製品の許可は持ちません。上記をご覧ください。
- 自動的に税務署向けの納税管理人になるわけではありません。それは別の選任で、次の節で説明します。
税関事務管理人と納税管理人:2つの選任、2つの官庁
海外のセラーは税関事務管理人と納税管理人をよく混同します。異なる法律に基づき、異なる官庁に対して行う別々の選任で、 日本に輸入してから販売する非居住者は、通常その両方が必要です (国税庁 質疑応答 16/27)。
| 税関事務管理人(ACP) | 納税管理人 | |
|---|---|---|
| 相手の官庁 | 税関 | 国税庁・税務署 |
| 法的根拠 | 関税法第95条 | 国税通則法第117条 |
| 対象 | 輸出入申告、検査、関税・輸入時の税の納付手続、税関からの通知、還付 | 国税の申告:消費税の申告・納付・還付、税務署からの書類の受領 |
| 就任できる者 | 日本国内に住所を持つ個人、または日本で登記された法人 | 日本国内に住所を持つ個人または法人(通常は税理士) |
| 届出 | 税関への様式C-7500(またはNACCSのGT7) | 所轄税務署への納税管理人の届出(国税庁 タックスアンサー6635) |
| 必要になるとき | 非居住者が輸入者または輸出者になるとき | 日本に住所のない非居住者が日本の国税を申告・納付するとき |
二重の手続を少し軽くする点が一つあります。C-7500(とNACCSのGT7)は、輸入時に税関が徴収する消費税についての 納税管理人の届出を兼ねます。消費税の申告のための税務署への納税管理人の届出は、国税庁側で別途必要です。EC事業者の典型的な流れは、 税関事務管理人を選任 → 輸入者として輸入し、関税と輸入消費税を納付 → 国内で販売 → 納税管理人を通じて消費税の登録・申告を行い、 輸入許可書に記載された輸入時の消費税を控除、です。
費用
上記の税関資料では、C-7500の届出そのものに手数料は定められておらず、税関発給の輸入者コードも無料です。このルートの実際の費用は 税関事務管理人の事業者に払うサービス料で、これは商取引上のものであり、貨物量や業務範囲(税関事務管理人のみか、納税管理人や通関業者との 調整も含むか)によって異なり、公的な資料には載っていません。決める前に複数の事業者から見積もりを取ってください。
よくある質問
- 税関事務管理人が関税や輸入消費税を代わりに納めてくれますか?
- いいえ。税関事務管理人は納付の手続を行いますが、関税と輸入消費税の法的な納税義務は関税法第6条により輸入者に残ります。事後調査で関税の不足が見つかれば、請求は税関事務管理人ではなく輸入者に来ます。
- 税関事務管理人は通関業者と同じですか?
- いいえ。税関事務管理人は関税法第95条に基づいて選任される手続上の代理人です。税関事務管理人が通関業の許可も持っていない限り、実際の通関書類の作成・申告は許可を受けた通関業者が行います。税関事務管理人のサービスを提供する通関業者は多く、1社が両方の役割を担うこともできます。
- 税関事務管理人の選任にはどのくらいかかりますか?
- 法定の処理期間はありません。実務では税関がC-7500の届出を登録するまでに2週間程度かかるとされることが多いため、最初の貨物が出発地を出るよりかなり前に届け出てください。選任の登録前に出荷してしまうことは、貨物が水際で留め置かれるよくある原因です。
- 税務署向けの納税管理人も必要ですか?
- 日本で商品を販売するなら、通常は必要です。税関に提出するC-7500は、輸入時に税関が徴収する消費税についての納税管理人の届出を兼ねますが、消費税の申告を行うには国税庁側への納税管理人の届出が別途必要です。異なる法律に基づく2つの別々の選任です。
- 税関事務管理人を選任しないとどうなりますか?
- 税関事務管理人がいなければ、非居住者は税関手続を行えないため、その名義で申告された貨物は通関できません。2023年10月1日以降は、税関長が非居住者に期限を定めて税関事務管理人の選任を正式に求めることができ、従わない場合は関係する国内の者を税関事務管理人に指定できます。
- 日本の3PLや倉庫に税関事務管理人になってもらえますか?
- 法的には可能です。日本国内に住所または本店を持つ個人・法人であれば誰でも就任でき、許可は不要です。税関事務管理人になっても3PLが輸入者になるわけではなく、納税義務が移ることもありません。ただし、引き受けるかどうかは事業者の判断次第なので、サプライチェーンをそれ前提で組む前に引き受けの意思を確認してください。