最終確認:2026年7月27日(日本語版 2026年9月28日)・出典:税関、国税庁、経済産業省(本文中にリンク)
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日本に入る商業貨物には必ず輸入者(IOR:Importer of Record)が必要です。輸入申告を行い、関税と輸入消費税を納め、通関後も税関に対して責任を負う当事者です。2023年10月1日以降、日本の関税法令は誰がその当事者になれるかを厳格に定めており、これが海外のEC事業者や機器ベンダーの出荷の組み立て方を大きく変えました。このガイドでは、法的な判断基準、日本法人のない海外企業がとれる3つの適法なルート、そして標準的な回避策が通用しない商品について説明します。
日本の税関でいう「輸入者(IOR)」とは
関税法には「Importer of Record」という言葉は出てきません。これに相当するのは輸入申告者、つまり「貨物を輸入しようとする者」で、第67条に基づいて輸入申告を行います。第6条により関税は「貨物を輸入する者」が納め、輸入消費税も同じ者から関税と一緒に徴収されます(税関カスタムアンサー1103、関税法(e-Gov))。
輸入者の氏名・住所は、関税法施行令第59条で定める輸入申告事項であり、2023年10月の改正で明確に位置付けられました。さらに2025年10月12日からは、通販貨物かどうか、該当する場合はプラットフォーム名、通関後の配送先も申告事項になっています(税関の改正案内ページ)。税関は、誰がどのプラットフォームのために何を輸入しているかを正確に把握できるようになっています。本ガイド全体を通じて、この点を意識してください。
誰が輸入者になれるか:2023年10月のルール
2023年10月1日から、税関は基本通達を改正し、輸入申告者となるべき者を定めました(税関の改正案内、税関リーフレット(PDF))。
- 輸入取引によって輸入される貨物(貨物を日本に到着させる原因となった売買):輸入者はその取引の当事者です。通常は日本の買主ですが、日本の買主がまだいないままフルフィルメント倉庫に送る場合は、非居住者の売主が輸入者になります。
- 輸入取引によらずに輸入される貨物(自社在庫、リース、委託販売、修理など):申告の時点で輸入許可後に貨物を処分する権限を持つ者が輸入者です。リーフレットでは、借主、自己の名義で販売する受託者、加工・修理を行う者などが例示されています。
- 手続だけを任された輸入代行者は、もはや輸入者として記載できません。日本のフォワーダーや代行業者の名義を申告に借りるという、以前は一般的だったやり方は明確に認められなくなりました。
税関の事例集は、ECにとっての帰結をはっきり示しています。フルフィルメントサービス(Amazon FBA など)向けの貨物は、非居住者のセラー自身が輸入申告者となり、そのために税関事務管理人を選任しなければなりません(税関の事例集(PDF))。海外企業は問題なく輸入者になれますし、倉庫に在庫を置くモデルではむしろ輸入者になることが原則として求められます。
運送会社やAmazonがIORを引き受けない理由
処分権限のルールを見れば、初めて出荷する多くの事業者が驚く「引き受け拒否」の理由がわかります。マーケットプレイス、運送会社、倉庫は貨物の所有権も処分権限も持たないため、これらを輸入者にすることは、2023年改正が廃止した「名義上の輸入者」そのものです。Amazon.co.jp はFBA向けの輸入貨物について輸入者にも荷受人にもなりません(Amazonセラーセントラルの規約。閲覧にはログインが必要で、上記の税関事例集とも一致します)。有効な輸入者のいない貨物は税関で留め置かれます。
国際宅配便各社も、海外の売主が通関と税を負担し、実質的に輸入者となるDDP(関税込み持込渡し)の出荷について同じ立場をとっています。たとえばDHLのグローバル通関ガイドラインでは、通関前に仕向国で輸入者となる者からの委任状を登録しておくことを求めています(DHL Express 通関ガイドライン(英語PDF))。したがって、日本向けにDDPで出荷する非居住者は、税関事務管理人を通じた自社の輸入者体制を整えるか、本当に輸入者となる意思と資格のある日本の荷受人を用意する必要があります。
日本に入る3つのルートの比較
日本法人のない海外企業がとれる適法な形は3つあります。最も重要なのは消費税の列です。輸入消費税は(CIF価格+関税)の10%で、それを誰かが取り戻せるかどうかは、輸入許可書に誰が記載されるかだけで決まります。
| ルート | 輸入許可書上の輸入者 | 輸入消費税を控除できる者 | 準備の負担 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 1. 日本の販売代理店が商品を買い取る | 販売代理店(輸入取引の当事者) | 販売代理店(自社の消費税申告で) | 低い:実体のある買取型の販売代理店契約 | 処分権限を持つ本当の買主である必要がある。2023年10月以降、名義上の輸入者は認められない |
| 2. 税関事務管理人を通じて非居住者として自社が輸入者になる | 自社(海外企業) | 自社。ただし納税管理人を通じて申告する消費税の課税事業者である場合に限る。そうでなければ10%は誰も取り戻せない | 中程度:税関事務管理人の選任(様式C-7500)、輸入者コード、通関業者、納税管理人 | 規制品には国内の許可保有者が別途必要。事後調査のリスクは自社が負う |
| 3. 日本に子会社を設立する | 子会社 | 子会社(自社の消費税申告で)。製品関連法の許可も保有できる | 高い:設立、登記上の事務所、継続的な会社・税務の申告 | コストと負担が大きい。市場テストの段階では多くの場合過剰 |
税関事務管理人を通じて非居住者の輸入者になる
関税法第95条第1項により、日本国内に住所も主たる事務所も持たない者は、税関手続を行う前に日本居住の税関事務管理人(ACP:Attorney for Customs Procedures)を定めなければなりません(税関カスタムアンサー9601)。日本居住の個人でも日本の法人でも就任でき、特別な資格は不要ですが、実務では通関業者、貿易コンサルタント、グループ会社が務めることが多いです。なお、通関業者でない税関事務管理人は業として通関を行えないため、通関業者は別途必要です。
カスタムアンサー9601と税関の改正案内による手続の流れ:
- 最初の申告より前に様式C-7500で税関に届け出ます。変更・解任は様式C-7510。NACCSでの電子届出は業務コードGT7/GT8です。
- 2023年10月1日以降、届出には自社と税関事務管理人との関係を記載し、委任契約を証する書類(委任状、登記事項証明書など)を添付する必要があります。
- 申告には輸入者コードが必要です。日本の法人番号を持たない者には税関が無料で税関発給コードを発給します(税関のコードに関するページ)。税関事務管理人を選任すれば、非居住者でもJASTPROコードを取得できます。
- 税関事務管理人は、本人に代わって申告、検査の立会い、関税・消費税の納付手続、税関からの通知や還付金の受領を行います。
税関事務管理人がしないこと:納税者になることは決してありません。関税と輸入消費税は第6条により本人の債務のままで、製品関連法の許可を本人に代わって保有することもありません。税関が徴収する消費税については税関への届出が納税管理人の届出を兼ねることができますが、日本国内で販売するなら、消費税の登録・申告・還付のために国税庁に対して別途納税管理人を定める必要があります。届出は2つ、相手は2つの官庁です(カスタムアンサー9601、国税庁 質疑応答 16/27)。
自社在庫を輸入する場合の課税価格
取引価格(インボイス価格をそのまま課税価格とする方法)が使えるのは、輸入取引、つまり貨物を送る原因となった日本の買主への販売がある場合だけです。税関は、買主が日本国内に住所・事務所・営業所を持たない取引をこの定義から除いています(カスタムアンサー1403)。非居住者の輸入者が売れ残りの自社在庫を日本の倉庫に移す場合(FBA型、委託販売全般)は輸入取引がないため、工場に支払った価格は通常使えません(カスタムアンサー1404)。
その場合は他の評価方法によることになり、実務で最も多いのは国内販売価格に基づく方法(控除方式)です。日本での販売価格から、手数料または利潤・一般経費、到着後の運賃・保険料、関税その他の公課を差し引きます。出品ページ、マーケットプレイスの手数料レポート、売上データで数字を裏付けられるようにしておいてください。フルフィルメント貨物の組織的な過少申告は2023年改正の理由そのものとされており、税関が真っ先に確認するのはここです。
税関事務管理人ルートが使えない場合:規制品
税関事務管理人が解決するのは、通関手続上の居住要件という一つの問題だけです。製品安全関連の法律には、それぞれ税関事務管理人では満たせない国内拠点の要件があります。
| 製品分野 | 法律 | 必要な国内の役割 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 電気用品などPSマーク対象品 | 製品安全4法(改正、2025年12月25日施行) | PSマーク対象品を日本の消費者に直接販売する海外事業者は、特定輸入事業者として届け出て、国内管理人を選任する必要がある | 経済産業省 |
| 無線機器 | 電波法 | 日本国内で適法に使用するには技術基準適合証明等(技適)が必要。基準に適合しない機器を使用して無線局を無免許で運用すると、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象になりうる | 総務省 Q&A、電波法第110条 |
| 化粧品、医薬部外品、医薬品、医療機器 | 薬機法 | 日本国内の製造販売業者(または選任製造販売業者)が製造販売業の許可を保有する必要がある。税関事務管理人ではこの地位は得られない | カスタムアンサー1805 |
| 食品、食品に接触する製品 | 食品衛生法 | 検疫所への輸入届出。実務では国内の食品輸入者が届け出るのが一般的で、税関事務管理人の事業者が自ら指定の輸入者となって食品を扱うことも多い | ACP実務者のガイド |
取扱商品にこれらが含まれる場合は、初回出荷の前に追加の国内の役割(または許可を持つパートナー)の費用を見込んでください。制約になるのは通関ではありません。
事後調査と罰則
日本は申告納税制度をとっており、分類・課税価格・申告内容の正確性は輸入者の責任です。非居住者の輸入者も例外ではありません。税関は非居住者の輸入者に対しても事後調査を行い、調査中は税関事務管理人が書類や連絡の窓口となりますが、責任は本人に残ります(カスタムアンサー9601、PwC Japan:非居住者の輸入者と税関事務管理人制度)。
2023年の改正では、ルールを無視する非居住者に対する執行の手段も税関に与えられました。税関長は非居住者に期限を定めて税関事務管理人の選任を求めることができ、選任されない場合は関係する国内の者を税関事務管理人として指定できます(関税法第95条第3項~第5項、税関)。2025年10月から申告事項になったプラットフォーム名と配送先とあわせて、越境ECの貨物は税関にとってますます狙いやすくなっています。最初の出荷から正しく申告してください。
よくある質問
- Amazonに日本の輸入者(IOR)になってもらえますか?
- いいえ。Amazon.co.jp はFBA向けの輸入貨物について、輸入者にも荷受人にもなりません(Amazonセラーセントラルの規約。閲覧にはログインが必要)。非居住者のセラーは、税関事務管理人(ACP)を選任して自社名義で輸入するか、本物の販売代理店や自己名義で販売する受託者など、法的に輸入者となれる日本のパートナーとの売買を通じて輸入する必要があります。
- 海外企業が日本の輸入者になれますか?
- はい。日本法人のない海外企業でも、最初の申告の前に日本居住の税関事務管理人(ACP)を関税法第95条に基づき選任し、様式C-7500で税関に届け出れば、自社名義で輸入申告ができます。2023年10月以降、届出には当事者間の関係を記載し、委任契約を証する書類を添付する必要があります。フルフィルメント倉庫に在庫を置く場合は、海外セラー自身が輸入者となることが原則として求められます。
- 税関事務管理人が関税や消費税の納税義務を引き受けてくれますか?
- いいえ。税関事務管理人が担うのは手続(申告、検査の立会い、納付の実務、書類や還付金の受領)だけです。関税と輸入消費税は関税法第6条により輸入者の債務のままで、申告内容・課税価格の正確性や事後調査への責任も非居住者の輸入者に残ります。
- DDPで出荷した場合、日本の顧客は輸入消費税を控除できますか?
- できません。輸入消費税を仕入税額控除できるのは、輸入許可書に輸入者として記載された者だけです。非居住者として自社が輸入者になる場合、日本の顧客はその消費税を控除できず、自社も税務代理人(納税管理人)を通じて申告する消費税の課税事業者でなければ取り戻せません。消費税法基本通達11-1-6 の例外は、限られた割当・免税のケースに厳しい条件付きで適用されるだけです。
- 日本で販売する商品すべてに税関事務管理人が必要ですか?
- 税関事務管理人が解決するのは通関上の居住要件だけです。電気用品などPSマーク対象品、技適マークが必要な無線機器、化粧品などの薬機法対象品、食品には、それぞれ税関事務管理人では代わりにならない国内の許可・届出の保有者が別途必要です。
- 非居住者の輸入者になるまでどのくらいかかりますか?
- 初回出荷の数週間前から準備してください。様式C-7500 の届出は最初の輸入申告より前に税関へ提出する必要があり、事業者は受入準備に2週間程度を目安として示すことが多いです。申告には輸入者コードも必要です。日本の法人番号を持たない者には税関が無料でコードを発給し、税関事務管理人を選任すれば非居住者でもJASTPROコードを取得できます。